世界的な観光地ヴェネツィア。
豪華絢爛なサン・マルコ広場や、美しい商館の建ち並ぶグランドカナル…。
その光あふれる栄華の影にひっそりと隠れるようにして存在するヴェネツィアのユダヤ人街、「ゲットー」。
ヴェネツィアにユダヤ人街があることを知らない人も多いかもしれません。
ユダヤ人街というと、抑圧された歴史やホロコーストを思い出し、暗い気持ちになる方もいるかもしれません。
しかし、現在のヴェネツィアのゲットーは、当時の面影や歴史を残しながら、ヴェネツィアの中でも独特の雰囲気を発した個性のある地区として注目されています。
華やかな観光地にばかり気を取られるのではなく、ふとこのゲットーに迷い込むと、普段のヴェネツィア旅行では経験できないことが起こりそうな予感がします。
この記事では、ヴェネツィアのユダヤ人街・ゲットーの特徴と魅力をご紹介します。
ヴェネツィアのユダヤ人街とその歴史
ヴェネツィアの北東部には「ゲットー」と呼ばれるユダヤ人街があります。
ゲットーとは、イタリア語で鋳造所の意味です。
16世紀にカナレッジオにあった鋳造所跡にユダヤ人居住区が作られ、ヴェネツィアのユダヤ人を移住させたことから、ユダヤ人居住区をゲットーと呼ぶようになりました。
ヴェネツィアのユダヤ人街は、世界で初めてゲットーと呼ばれたユダヤ人居住区と言われています。
昼間はゲットー意外での場所で活動したり商売をすることも許されていましたが、夜になるとただ一つゲットーに繋がっている橋の門の鍵をかけられ、ゲットーの中に閉じ込められました。
また、ユダヤ人税という重い税を課せられ、住まいも間口に対して税金を取られたため、狭い入り口がいくつも階下に並び、縦に縦に建物がのびていく集団住宅をゲットーではよく見かけます。
ゲットーにある広場には、ホロコーストの様子を伝える壁画が残されています。
何万もの人が列車に詰め込まれ、強制収容所送りにされる様子が描かれており胸が痛みます。
現在のヴェネツィアのゲットーの様子
ヴェネツィアのゲットーは他の地区と違い、庶民的なイメージを強く受けます。
路地にはためく洗濯物、通勤する地元の人々、ユダヤ帽をかぶったお爺さんや子供たち…小さな食料品店…。
ヴェネツィアにも暮らしている人がいることを思い出させてくれます。
狭い土地にできるだけ多くの人が住もうとしたため、建物1階1階の高さが低く、背の高い建物が目立ちます。
これからは先にお話ししたユダヤ税の影響によるものです。
地盤沈下が激しい地区もあり、柱が曲がっていたり、建物に施された彫刻や石像がいびつに歪んでいる建物も見かけます。
ヴェネツィアが水の上に建っていることを思い出しますね。
ゲットーのはずれにあるMadonna dell’Ortoマドンナ・デロルト教会は、どこか女性的な雰囲気を持つ美しい教会です。
観光地区よりも人が少なく、思い思いに路地や水路にかかる橋を散策するのが楽しいエリアです。
ぜひ一歩足を延ばしてゲットーにも行ってみてくださいね。
ゲットーは○○が魅力的
ゲットーに行ってみて欲しいもう一つの大きな理由が、ゲットーにあるレストランです。
ゲットーのレストランは、地元の人が利用する小さなレストランが多く、ヴェネツィアの多くのレストランが観光地プライスであまり美味しくないお料理を堂々と振る舞うのと反対に、安くて美味しいご飯を提供してくれます。
ヴェネツィアを旅行していると毎度の食事にかかる費用と味の悪さに辟易してしまうことがありますが、ゲットーに来ればその問題は解決されるのです。
雰囲気のある小さなレストランでヴェネツィアっ子になった気持ちでお食事を楽しんでください!
まとめ
ヴェネツィアの主要な観光地から少し外れたゲットー。
生活感と少し気怠いような雰囲気が漂い、独特の風景を堪能することができます。
美味しくて適正価格なレストランも魅力的。
ヴェネツィアの表通りでは楽しめない影の魅力を確かめにいらしてください。
|