かつて「ユーゴスラヴィアのスイス」と称されたスロヴェニア。
その理由は国の北西部にあるユリアン・アルプス。
ちなみに2005年の映画『ハイジ』の舞台はスイスではなくスロヴェニア。
自然の美しさはお墨付きですね!
さて、スロヴェニア観光といえば、クロアチアとあわせて訪れる方も多く、そのルートとして、首都リュブリャナはもちろん、「アルプスの瞳」ブレッド湖、さらに南下してポストイナ鍾乳洞が一般的でしょうか。
そこで今回ご紹介しますのは、日本人観光客にあまり知られていない穴場的な街々です。
早速、スロヴェニア東部へ。クロアチアの首都ザグレブからのアクセスが便利ですよ。
「ワイン街道」のあるスロヴェニア東部
スロヴェニアの首都リュブリャナ(Ljubljana)は、“小ウィーン”とも言われ、オーストリア・ハンガリー帝国時代のエレガントな街並が印象的ですね。
では、スロヴェニア東部はどうでしょう。
日本ではあまり知られていませんが、グルメで名高いスロヴェニアご自慢の「ワイン街道」があります。そして街道沿いには、のどかな田舎の村だけでなく、歴史ある中世の街や城も点在しています。クル川に囲まれたノヴォ・メスト、ローマ時代に起源をもつツェリエ城・・・中でもマリボルとプトゥイは「スロヴェニア珠玉の町」として必見です。
スロヴェニア第2の都市バロック建築が美しいマリボル
2012年ヨーロッパ文化首都に指定されたマリボル(Maribor)。
バロック建築が美しいことで知られます。第一次世界大戦前まで、人口の80%がドイツ人であったことからも、ドイツ的な街並が印象的です。
興味深い史実として、ヒトラーがこの町に侵攻したとき、“マリボルをドイツの手に!”と宣言したとか。
そして、その舞台となったのが「マリボル城」。
町の中にあるためあまり“城”という感じがしませんが、第二次大戦中、ヒトラーが滞在したマリボル城は、現在、「地方博物館」となっています。石器時代から中世にいたる貴重な遺物が収蔵されていますので、是非訪れましょう。
城内ではとくに、フランツ・リストも利用した大階段や大広間は、バロック様式の装飾が目を引きます。エレガントなマリボルの街並も散策したいですね。
スロヴェニア最古の町プトゥイ
スロヴェニア最古の町プトゥイ(Ptuj)は、マリボルと同じく、1941年以降ナチス・ドイツに占領され、当時スロヴェニア人は追放されました。しかし、1945年以降またスロヴェニア人の町となっています。
中世の街並が保存されたプトゥイはゆっくり散策が楽しいですね。
一方で、是非とも訪れたいのが9世紀に起源をもつ「プトゥイ城」。
旧市街を見下ろす小高い丘の上に建つ城からは、ドラヴァ川の眺めが印象的です。
ドラヴァといえば、クロアチアのスラヴォニア地方でドナウに合流する川ですね。
プトゥイ城が現在の姿になったのは17世紀。
数世紀にわたりこの地方の有力者であったヘルベルシュタイン家の居城として、1945年まで使用されていました。現在は「地方博物館」になっていて、18世紀~20世紀の調度品が展示されています。
さらに、バロック時代の楽器コレクションは一見の価値がありますよ。
毎年この城で開催されるバロックコンサートにはオリジナルの楽器が使われています。
また、2月のカーニバルシーズンには、プトゥイにてスロヴェニア最大のカーニバルが行われます。
おわりに
スロヴェア東部の町マリボルとプトゥイ。
ユーゴスラヴィア崩壊後の紛争でも、城などが略奪を受けなかったことは幸運でしたね。
旅の途中に、ワイナリーでスロヴェニアの食とワインを楽しみながら、スロヴェニアの知られざる町々を訪れてみてはいかがでしょうか。
p.s.クロアチア人の心のふるさと!「黄金の谷」スラヴォニア地方の記事も読んでみてくださいね!