みなさん、こんにちは!
オーストリアの夏は、バカンスシーズンということもあって、各地で様々なフェスティバルが開催されています。
国内で数え切れないほどある催し物の中、7月19日〜21日にリンツで開催された「Das Pflasterspektakel!」に行ってきました。
リンツってどんな街?
オーストリアの首都ウィーン、第2の都市グラーツ、に次いで第3の都市と呼ばれるリンツ。
リンツは、作曲家アントン・ブルックナーやドイツ労働者党ナチスの指導者、アドルフ・ヒトラーの出身地としても有名ですが、街の中には新しい芸術文化と古い芸術文化が見事に共存する、とても興味深い街です。
ウィーンからの日帰り旅行にもおすすめ
オーストリア・オーバーエスターライヒ州の州都です。ウィーンから電車で1時間ちょっとで行ける距離なので、日帰り旅行にもオススメの街です。
工業都市から欧州文化都市へ
リンツは製鉄業で栄えた工業都市としても知られており、1945年の第二次世界大戦終戦の頃には、製鉄工場から排出されるスモッグによる大気汚染が問題となり、人々の間では「埃にまみれた鉄鋼の街」と呼ばれていました。当時は晴れの日でも景色は灰色だったそうです。
こうした環境保護活動と共に街のイメージアップのために行政が力を入れてきたのが、芸術文化の分野。
◆クラシック音楽のフェスティバルDie Linzer Klangwolke
◇リンツに縁深い作曲家ブルックナーを取り上げるDas Brucknerfest
◆世界で活躍するストリート・パフォーマーたちの祭典Das Pflasterspektakel
◇メディアアートの世界的なフェスティバルDas Ars-Electronica-Festival (アルス・エレクトロニカ・フェスティバル)
といった様々なインターナショナル・フェスティバルを仕掛けていき、長い時間をかけて「現代芸術の街」として活気がだんだんと戻っていきました。
※アルス・エレクトロニカ・センター
※引用:https://www.ausflugstipps.at
欧州文化都市としても有名
新しい芸術の中に、作曲家ブルックナーが13年間弾いたオルガンの残っているAlte Dom(旧大聖堂)」や、オーストリアで一番大きいと言われているマリーエン新大聖堂など、古い芸術や建築も残っており、総合的な文化活動が評価され、2009年には欧州文化都市に選ばれました。
※マリーエン新大聖堂。空中ブランコのパフォーマンス会場。
前置きが長くなってしまいましたが、お祭りの熱気に包まれたリンツの街をレポートしたいと思います。
Das Pflasterspektakel(プフラスターシュペクターケル)!
Pflasterプフラスターとは通りに敷き詰めてある石、いわゆる石畳のことで、道の上でスペクタクルを楽しもうというコンセプトのフェスティバルです。
1987年から毎年開催され、今年で32回目となるこの催しは「インターナショナル・ストリート・パフォーマンス・フェスティバル」と副題も付けられていて、様々なストリートパフォーマーが世界各国から集まり、その芸を披露してくれます。
リンツの中心地一帯(Hauptplatz, Altstadt, Pfarrplatz, Promenade & Herrenstraße, Landstraße)をパフォーマンスエリアとして、3日間にわたって大勢の市民、観光客、お年寄りから子供まで、パフォーマンスを楽しみます。
110組以上のアーティストによるパフォーマンス
今年は110組のカンパニーやソロで活動するアーティストが参加し、街のいたるところで観る人々を楽しませてくれました。
その数、3日間を通して述べ40箇所、700公演!
少し歩けば道の向こうで歓声が上がり、また違う場所では拍手が巻き起こり、パフォーマーのあの手この手の芸で街中が笑いに包まれます。
飽きないプログラム
プログラムの種類も様々。ピエロが披露する大道芸から、アクロバティック・パフォーマンス、マジックショー、空中ブランコを使ったパフォーマンス、ファイヤーショーもあれば、サンバ・セッションがあったり、しっとりとしたクラシック・ピアノの即興演奏もあったり…街を歩けばいろんなアーティストに会えるので、飽きることなくあっという間に時間が過ぎてしまいます。
※ピアノのコンサート。美しくライトアップされた州庁舎の中庭にて。
パフォーマンスを楽しもう!
1つのプログラムは基本的に30分〜40分。
最初のプログラムは14時から始まります。
それ以降、毎時スタートでグループ分けされていて最終スタート時刻は夜22時〜。
その日のプログラムをインフォメーション(Infopoint)でもらうと、1日のスケジュール、プログラム、場所が一覧になっているので、観たい公演を決めたらまずは場所取りをしましょう。
※7月21日の1日のスケジュール表とフェスティバルのプログラム。Infopoitで配布されている。
どの公演も無料&立ち見が基本
パフォーマンスが始まるだいたい10分前に自分の場所を確保しに行きます。
通りすがりにショーを覗くのも楽しいですが、人気のショーだと、すごい人だかりで後ろの方は全く見えないことも多いので、最前列で観るのがオススメです。ただ、一番前に座ると、途中で「ちょっとそこの人手伝って!」とショーの一員として駆り出される(男性の確率が高かった!)ことがあるので、自らもパフォーマーとなりたくない方は後ろの方で観覧しましょう。
ショーの種類によっては無料のイス席が用意されているものもあります。
整理券を買おう
事前にフェスティバルのプログラムで確認して、その日のフェスティバルの開始時刻(木曜16時、金・土14時)に整理券をInfopoint(インフォメーションでもらうことができます。
もしその時刻に間に合わなくても、ショーの開催される場所で開始直前にももらうことも可能です。
Infopointでは、投げ銭のための両替もしてくれるので、大きいお金しか手元にない場合も安心です。
疲れたら簡易イスをゲット!
路上に座りたくない…
立って見続けると疲れる…
そんな時に便利なのが、Pflaster-Hockerプフラスター・ホッカー。
段ボールでできた簡易イスをインフォメーションで手に入れることができます。
簡単に組み立てることができて、すぐにたたむこともできるこのイス、見続けていると体力も消耗してくるので重宝しますよ。
パフォーマーさんたちに敬意を!
開催地がリンツということで、オーストリア出身のアーティストや、これからが楽しみな新人、という枠で地元のアーティストもたくさん参加していました。
ヨーロッパの近隣の国から来ているパフォーマーさんが多かったですが、南アメリカや、アジアからの参加者も何組かいて、今年は日本人のアーティストさんも3組いました!
日本人のPerformer MONKさん
世界を旅する大道芸人として活躍中のperformer MONKさん、世界中でショーを行っておられます。
パフォーマーのみなさん、世界各地で開かれるフェスティバルを行脚しているそうで、世界中のお客さんを笑顔にするために、ずっと旅続きなのだそうです。
※写真はPerformer MONKさん
ショーの終わりには心づけを
呼ばれればどこへでも行きます、というスタンスで活動しているパフォーマーのみなさん、ギャラなどはもらっていないということで、パフォーマンスのおひねりでその日の収入が決まるんだとか。
このフェスティバルでもショーの後半にはどのパフォーマーも皆さん同じことを言っていました。
次のプログラムで今日のショーは終わりだけど、
「ここまでみなさん楽しかったでしょ?」
笑ったでしょ?
その気持ちをこの袋に入れて行ってください。
ちゃんと僕たちがどこから来たか、
何人いるかも考えて入れていってね!
ちっちゃいコイン1枚とかナシよ!」
などなど、内容はほとんど同じでしたが、この口上ひとつにもパフォーマーの個性が垣間見れておもしろかったです。
ドイツ語で投げ銭のことをdas Hutgeldと言いますが、ショーの終わりに心づけをあげるのがマナー。
どのショーもとても完成度が高く、もっと観たい!と思わせてくれるところはさすがでした。
アメリカのデュオ「Her Majesty’s Secret Circus Show」
個人的に大好きになってしまったのが、ショーの初めから終わりまで笑い続けたHer Majesty’s Secret Circus Showというアメリカから来ていたデュオ!
このコンビ、寸劇と言葉巧みな話術でがっちり観客の心をつかみ、演劇の要素が強いかと思えば、7つのファイヤートーチを使ってのジャグリングで盛り上げ、最後は少しキュンとする演出もありで、あっという間の30分でした。
※Her Majesty’s Secret Circus Show
子供も大人も一緒に楽しめるプログラム!
子供と一緒に路上パフォーマンスを楽しみながら過ごすのもいいですが、子供のためのプログラム、というのもあります。
子供のためのお芝居形式のサーカスショーや、アクロバットやジャグリングを体験できるワークショップも開催されます。
このワークショップは事前に申し込みが必要です。
移動して魅せるパフォーマーさんもたくさんいました。
2019年の開催期間
毎年参加するアーティストは少しずつ変わりますが、来年33回目の開催期間は2019年7月18日〜7月20日と決定しているので、もしこの期間にオーストリアに旅行をお考えの方は、熱狂のリンツをぜひ体験してみてくださいね。
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