ジープニーとは?
ジープニーというのは、トラックの屋根付きの荷台にベンチシートを載せたような乗り物のことです。
日本の軽トラックを流用した小型のタイプと、少し大きめで日本にはないボンネットのあるトラック(小型トラックほどのサイズ)タイプが主流です。
元々は米軍が戦後に基地に置いて行った軍用トラックを使って、公共交通のような商売を始めた人がいたことから始まったと言われています。
それぞれの地域の交通系の役所(LTO)が、路線と運賃を決定し、毎年更新されるライセンスを入手できた車両だけが運行できます。
日本のバスとの大きな違い
決まったルートを走り続けるという意味では日本のバスのようなものですが、大きな違いが2つほどあります。
➀1つはどこでも乗り降りできるということ。
バス停のようなものはなく、どこでも自由に停められる(一部道路標識で乗降禁止ゾーンもあり)というのが客にとってはありがたいところです。
➁もう1つの違いは時刻表がないこと。
ですので、目当ての路線のジープニーが通りかかるまでひたすら待つことになります。
不思議なもので、来てほしい路線のジープニーほど来ないものでして。
夜中や祝日は見つけにくいので注意
また基本的には運転手の働きたいときに働くというスタンスですので、夜中や祝日などに見つけにくいというデメリットもあります。
料金システムと社会問題
運賃体系
運賃体系はいたってシンプルです。
最初の4kmまでは8ペソ(約17円)、それ以上は1km毎に1ペソという具合です。
ただガソリン価格の高騰や物価の上昇に伴って運賃は毎年改定されていまして、本当は4km以上は1km毎に1.5ペソ程度になっているのですが、実質は1ペソ以下は切り捨て(日本の銭と同じ)となっています。
乗り降りの場所は自由なので、乗っている区間の長さは運転手の感覚次第です。
ですので運賃も運転手によるのですが、客の側も距離感覚をつかんでいるので、運賃でもめることはあまりありません。
安いからこそ生まれる環境問題も
低価格で移動できる便利な乗り物ですが、客単価が低い(=低利益)ため古い車両を限界を超えても使い続けることになります。
その結果排気ガスが酷く、街中の空気が汚れる主な原因になっています。
またどこでも客の要望に従って停車するため、交通渋滞の主な原因ともなっています。
これらの社会問題を解決するため、昨年(2019年)からジープニー路線での新型循環路線バスの試験運用が始まっています。
ただしまだ本数は少なく、エアコン付きなこともあって運賃はジープニーの1.5倍ほど高く、しかも500m間隔のバス停でしか停車しないなど、市民生活になじむにはまだかなり時間がかかりそうです。
さらに大量のジープニー運転手の職を奪ってしまうという点もバスへの切替の課題です。
ジープニーの乗り方
どこでも乗れるジープニーですが、目当ての場所に行くにはその路線のジープニーを探したり、乗り継ぐことも必要になってきます。
ところが日本のように路線図というものがありません。
路線図のないジープニー、どうやって乗ればよい?
では初心者はどうすればよいか。
誰かに聞くことです。
フィリピンの方は基本的に皆さん親切ですし、英語も話せますから、地図を見せて行先を示しながら「Which jeepney?(どのジープニーかしら?)」とでも言えば教えてくれます。
中に乗り込むと想像以上にギュウギュウに詰めて座らされますが、そういうものだと思って諦めて下さい。
乗ったらお金を運転手に手渡し、行先を告げます。
お金はなるべく崩してから乗ろう
この時、あまりに大きな額の紙幣ですと受け取りを拒否されて困ることがあります。
日本でも80円の買い物に千円や一万円札を出されたら嫌な顔をされますよね。
そんなわけで、なるべくお金を崩してから乗るようにしましょう。
目的地を地図アプリで把握しながら乗ろう
また最初のうちは現在地がどこかを、小さな車窓から判別するのは無理ですので、携帯の地図アプリなどを使って現在地をよく見るようにしましょう。
でないと、目的地で降りられないですから。
降りるときは運転手に声をかけよう
さて降りるときは、「パラ(ここです)」(タガログ語)、「ルガーラン(降ります)」(セブアノ語)などと運転手に声をかければ停まります。
が、大音量で車内で音楽がかかっていることもありますし、大声を出すのがが苦手でしたら金属の手すりを小銭で叩けばOKです。
最後に
観光客向けの乗り物ではありませんが、旅先の文化に触れるという意味で、一度は乗ってみることをお勧めします。
行先を間違えたって17円ですから(笑)