ヨーロッパ旅行では、歴史ある教会建築に出会う機会が多いですよね。
個人旅行であればガイドブックの情報を頼りに、そしてツアーであれば現地ガイドから「この教会は○○世紀のゴシック様式。特長は・・・」なんて説明をよく聞きます。
時代や建築様式を知ると、教会見学もより充実します。
今回は“プレ・ロマネスク”といってロマネスクの源流ともいえる建築様式の教会「サン・ペドロ・デ・ラ・ナベ」をご紹介したいと思います。
場所はスペインのカスティリャ・イ・レオン地方サモラ県。
時代はなんと7世紀!まさに秘蔵の教会です。
そもそも“ロマネスク”ってどんな建築様式?
ロマネスクと言えば、ゴシックの前に流行った建築様式で、時代は10世紀後半から12世紀。
その特徴を一言で言えば“壁に支配された建物”。
つまり、まだ“柱”の技術が無かったため、天井を支えるのは分厚い“壁”。
窓が小さく建物の内部はやや薄暗く感じます。
一方、この広い壁いっぱいにフレスコ画が描かれ、教会内部を彩っています。
当時の人々はこの壁画から聖書の世界を学んだのです。
ロマネスクのあと、ゴシック、ルネサンス、バロックとフレスコ画はステンドグラスへと代わります。
ロマネスクの特徴をもう一つ挙げるなら、それは円形アーチ。
ヨーロッパの中でも、スペインには魅力的なロマネスク教会が多く残されています。
7世紀の西ゴート時代に生まれたプレ・ロマネスク
さて、プレ・ロマネスクを語る上で、その時代背景となる西ゴートは欠かせません。
西ゴートは、395年ローマ帝国の東西分裂後、西ローマ帝国の崩壊をもたらしたゲルマン民族の一派でスペインに定住しました。
彼らはこの地を支配しましたが、宗教はすでに浸透していたキリスト教を受け入れます。
そしてローマ時代のキリスト教聖堂“バシリカ”様式に独自アイテムも加えて発展させたのです。
これがのちに“プレ・ロマネスク”と呼ばれます。
馬蹄形アーチが美しいプレ・ロマネスク教会「サン・ペドロ・デ・ラ・ナべ」
サン・ペドロ・デラ・ナベ教会があるのは、スペインのカスティリャ・イ・レオン地方サモラ県。
県都サモラの町から北西へ約23キロのエル・カンピージョ(El Campillo)という村です。
田舎にひっそり佇む教会に入ると目に留まるのは、美しい馬蹄形アーチとユニークな柱頭の彫刻。
馬蹄形アーチと聞くとイスラム文化を想像しがちですが、実は西ゴートがすでに使用していました。
そして柱頭の彫刻は、テーマも自由な発想が伺えとてもユニークですので、是非一つ一つじっくり眺めてくださいね。
サン・ペドロ・デラ・ナベ教会へのアクセス
マドリードのチャマルティン駅から列車でサモラまで約1時間半。
そこからタクシー利用となります。
▶サン・ペドロ・デラ・ナベ(San Pedro de la Nave)
Calle San Pedro, 15, 49183 El Campillo, Zamora, Espagne
終わりに
ロマネスクファンの方も、その源流となるプレ・ロマネスクは必見です。
機会がありましたら是非このサン・ペドロ・デ・ラ・ナベを訪れてみてください。
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