こんにちは!
1月も下旬になり、ベルリンは一段と寒くなってきました。
まだまだ暖かい春は遠いなあ……と感じる今日この頃。
ベルリンは、毎月何かしらのイベントが開催される街なのですが、今月は「ファッションウィーク2020」というイベントが催されていたので足を運んでみました。
世界中から若手アーティストが集う街、ベルリン。
ファションカルチャーも魅力的です。
今回はベルリンのファッション事情、また日本との違いなどお伝えしたいと思います。
ベルリンのファッションについて
私がベルリンで気に入っている事のうちの一つ、それがこの「ファッション」です。では、ベルリナーはどのようなファッションをしているのか実際に見ていきましょう。
①「媚びない」ファッション観
ベルリナーの服の色合いは総じてシックです。
そして街で道ゆく人を観察していると、大人の女性でレースやフリル、パステルカラーやフェミニンなスカートを履いている人はほとんどいません。
「前髪パッツン」を大人でしている人も見ません。
いわゆる「若い・可愛い」スタイルのファションが日本と比べて非常に少ないという特徴があります。
ヨーロッパにおいて、それらのファションは子供に象徴されるものだからです。
また、「若い・可愛い」に対して価値をそこまで置いていないというヨーロッパの文化もあるでしょう。
ヨーロッパの女性は、ある程度の年齢になれば「若い・可愛い」ではなく「洗練」というものを目指します。
ここが日本とヨーロッパの一番の違いだと思います。この違いに関しては、ファッション以外も通じる事です。
日本では、雑誌やネットで「モテ服!」「愛されコーデ!」といったキャッチフレーズを頻繁に目にします。
大人の女性でもレースやリボン、パステルカラーを取り入れたコーディネートを楽しむ方も多いと思います。
その背景として、日本には「女性は若く・可愛くあった方が良い」という価値観が根付いているからかもしれません。
また、メディアが作る「トレンド」というものも無いように見受けられます。
ベルリンにも何かしらの流行があるのだとは思いますが、あったとしても多くを取り入れる人は少数なのだと思います。
ドイツ・ベルリンの17、18歳ぐらいの女の子。日本の女子高生の私服とは随分違います。
②「機能重視」
ドイツ人は何かを選択する際に、機能を重視していると感じます。
「選ぶ」ということに関して非常にドライ。
必要か、不必要か。便利か、不便か。
デザイン性よりも「機能重視」の面が強いと思います。
その性質はファションにも通じています。例えば、靴に関してもヒールを履いている女性をほとんど見かけません。
多くは、歩きやすいスニーカーやフラットブーツ。ヨーロッパの道は日本のように整備されておらず、デコボコの石畳です。
ヒールでは歩きにくいので必然的に歩きやすい靴を選ぶのでしょう。
また、自転車文化も強い国なので、パンツにリュックという女性も多いです。
また、職場でのスーツやオフィシャルな化粧もありません。
硬めの仕事でもジャケットを羽織るくらいです。
私が通っていた語学学校の先生もデニムなど皆カジュアルでした。
一人だけ毎日スーツを着ている男性の先生がいたのですが、彼は生徒の間で「あのスーツの先生」と呼ばれていました。
それほどスーツを着ている人は珍しいのです!
このように、ドイツ人はデザインやおしゃれを意識しているというよりも「機能重視」で服を選ぶ事が多いと思います。
それでも何故か洗練されて見えるのは、彼らのすらっとしたスタイルや、金髪に白い肌のせいかもしれません。
羨ましい限りです。
③「服の多様性 サステナブルやヴィーガンファッション」
ベルリンはとにかくダイバーシティですので、ファッションも多様性に富んでいます。
ムスリム系の女性はヒジャブ(頭に巻く布)を身につけていますし、全身タトゥーや、女性の坊主、モード系など様々なファッションが見られます。
さらに、現代的な街ベルリンではファッションも最先端。
「サステナブル(持続可能な社会や環境)」に関しては、最近日本でも取り上げられる事が多いですが、ベルリンではファッションでもサステナブルを実現しています。
例えば、日本でも人気のブランド「H&M」。
2030年までに使用素材を全てサステナブルに変えるという目標を掲げていますが、これもドイツの店舗で始まったプロジェクトです。
後述する「ベルリンファッションウィーク」でもサステナブルファッションというジャンルとして正式に成立していますし、それをコンセプトにしたフランドの展示会も多くあります。
また、「ヴィーガン」と聞くと食のイメージが強いと思いますが、本来の「ヴィーガン」は食のみならず、着るものにも毛皮や動物性のものを使わない主義のことを指します。
実際ここまで徹底している人も多いです。
ベルリンの若手アーティストがサステナブルやエシカルに強い関心を持っているため、必然的に盛り上がっていくのでしょう。
サステナブルの中心はベルリンにあるという声も聞きます。
オーガニックかつおしゃれなんて素晴らしいです!
さすが現代アートの街ベルリン!
《ベルリンのファションウィーク2020》
では、実際に「ベルリンファッションウィーク2020 」を見ていきましょう。
①「Fashion week 2020」とは?
ベルリンで開催するファッション・ウイーク。
ミラノ、パリといったヨーロッパのコレクションに合わせ、7月と1月の年に2回開催されます。
展示会やファッションショー、サステナブル・ファッションの見本市(グリーンショールーム GSR)などが開かれます。
無料で開かれているものやチケットが必要なもの、また関係者や招待された人のみしか入れないものまで様々です。
今回は1月13日〜1月17日まで開催されていました。
実は、あまり多くを回れず、ショーや大きなイベントには参加できなかったのですが、いくつか展示会に行った様子を載せていきます。
イベント内容
1、「THIMMHOTH COUTURE」のショールーム
最初にこのブランドの展示会に行きました。
個人的にはここが一番のお気に入りです。
目的地に向かっていますが、なんだか怪しげな通りに入って行きました。
夜は一人で歩けない場所です。
確実に……。
マップではこの場所ですが、ショールームが行なわれている雰囲気が一切ありません。
工場でしょうか。
人の気配もあまりありません。
しばらくさまよっていましたが、それらしきものが見当たらなかったので、引き返そうとした時、向こうからピンクの髪の毛の可愛いお姉さんが……「Can I help you?」と声をかけてくれました!!!
展示会を見たいことを伝え、チケットなしで入れるかを確認し、お姉さんが案内をしてくれました。
優しい。
そして、入り口。廃墟と化した工場の一室を使用しているのだと思います。
中に入るとこんな空間が繰り広げられていました。
そして、先ほど案内してくれたピンクの髪のお姉さんが、このアートテキスタイルのコンセプトについて説明してくれました。
英語が分からない私は、ドイツ語でお願いをしました。
今回展示されている作品は、バウハウス創立100周年の記念として創られたもの。
バウハウスからコンセプトを得て、デザインをし、さらに手作りで仕上げたそうです。
最先端を意識しているとのこと。
例えば、このワンピースのシルエットは1910年代を意識したもの。ウエストの位置を敢えて低く作っているんだ!と。
そして構想段階のものも見せてくれました。
バウハウスの資料もあります。
服のみならずこの場所自体に魅力を感じたので、あなたはここで作業しているのか?と尋ねたところ、ここは服を作るアトリエではないということでした。
この場所はLars Deikeという画家のアトリエですが、デザイナーがこの場所を気に入ったため、借りて今回の展示をしているということでした。私もこの場所を魅力的に思うということを伝えました。
昨日の夜は、ここでファッションショーをしていたんだよ〜と教えてくれました。
行きたかった……。
現代的なアートテキスタイルを楽しめました。
さらに、お姉さんやデザイナーさんがとても親切に説明をしてくれたことに感動しました!
ありがとう!
2、Pop Up Store
二つ目は、15のショップが集まったポップアップショップに行きました。
先ほどのアバンギャルドなショールームとは一転、日常でも着ることができるレディースウェア、アクセサリー、バックなどを販売しています。試着室もあります。
どれも素敵で、私も手に取ってまじまじと見てしまいました。
値段はもちろん安くはないですが、手が出ないという程でもなく日本円にして1万以下のものなどもありました。
仕立ての良い真っ黒のカットソーが素敵で、さらにSサイズもあり(私は小柄なのでSサイズしか着ることができない)一瞬迷いましたが、我慢…。
半年後の7月のファッションウィークで散財しようと心に誓いショップを後にしました。
3、「TANJA CHRISTIANI」の秋冬コレクション 発売イベントパーティー
18時頃からベルリンの中心部の通りで行われる、発売イベントパーティーに出かけました。
シンガーソングライターによる音楽や、無料のビールやワインも振舞われています。
このブランドは近代建築からイメージを受けたものらしく、表現が豊かで強い印象を受けました。
日本などアジアの要素も取り入れています。
さらに先述した、サステナブルにも目を向けているそうです。
とても素敵な空間とお洒落な方々は見ているだけで酔ってしまいます。
今回この3つしか行けませんでしたが、本来ならばファションショーや盛大なイベントなども行なわれています。
パフォーマンスとのコラボなども見にいけず残念。
しかし、この3箇所だけでもタイプが違い様々な切り口から「ファッション」を捉え、表現していることが魅力的でした。
特に気に入ったのは、一つ目の廃墟で開かれていたショールーム。
現在の若手デザイナーが、「モダン」を生み出した歴史的な学校からインスピレーションを受け、さらに自分のものとして再創作していることに感動しました。
次回のファッションウィークは7月なので、興味がある方はチェックしてみたらいかがでしょうか?
まとめ《ベルリンのファションから考えること》
今回紹介させていただいたのは、ベルリンのファッション事情。
日常的なファションと、非日常のファッション。
「ハレ」と「ケ」の両方とも日本とは随分違います。
文化や歴史が違う以上どちらが良いということではないのですが、個人的にはこの毅然とした態度のベルリンのファッション観が気に入っています。
私自身、ベルリンに来るまでファッションカルチャーがここまで熱いとは知りませんでした。
次のファッションウィークでは、素敵なものを購入できるよう頑張って生活したいと思います!
では!