街路樹が色づき始める10月、みなさまいかがお過ごしでしょうか?
ドイツの秋は朝晩の冷え込みが激しいですが、秋晴れが心地よい季節。
この短い秋が終わるとどんよりとした長い冬に入るので、木々が黄色や赤に色づくこの時期はドイツに住む人たちにとっては貴重な時間です。
ドイツはすっかりコロナの規制も無くなり今まで通りの日常を取り戻してきました。
今回は天気も良かったので、以前から気になっていた世界遺産を訪れてみましたのでご紹介していきます。
今回足を運んだのはドイツ南西にあるボーデン湖の湖畔、ウンターウールディンゲン(Unteruhldingen)にある「先史時代杭上居住跡群」です。
この世界遺産は“アルプス山脈周辺の杭上住居群”で登録されているため、スイス・イタリア・ドイツ・フランス・オーストリア・スロベニアの6か国にまたがる111か所と広範囲の世界遺産になります。
登録されたのは2011年とまだ世界遺産としては比較的新しいものになりますね。
アルプス山脈周辺には湖も多く、その湿地に杭を立て先住民が暮らしを営んでいました。
水上にあるため保存状態が良いものはそれほど多くありません。このウンターウールディンゲンにある杭上居住群は住居を再現したもの。
「杭上住居博物館(Pfalbautenmuseum)」という名称で、この地でどんな発掘があったのか、どのように湖中に杭を立て住居を建てたかを知ることができます。
この日は朝一番で向かったのですが、ドイツ人の団体観光のバスが何台か来ていましたが町の中心は人もまばら。
大きくない町だったので地元の人が犬の散歩をしていたり、子供たちが公園で砂遊びをしていたりとゆったりと時間の流れている印象です。
再現された湖上住居といってもとても本格的なので全て木で組み立てられた通路の上を歩くのはドキドキします。
たまにギシギシときしむ音もしてハラハラする場面も。
みなさん、どうしてむかしの人はわざわざ湖上に住居を構えたとおもいますか?
外敵から身を守るため、農地に適した場所を有効活用するために住宅を湖上に作ったと考えられているようです。
順路を進んでいくと建物の中に入ってむかしの人たちの生活の様子がよくわかります。
建物の中は残念ながら撮影不可だったのですが、当時の生活がわかるように再現されています。
杭上の住居の中にはお鍋屋さんや狩猟に必要なものを売っている場所、羊や牛を育てている場所もありました。6000年も昔にタイムスリップした気分になりました。
博物館を見学していて不思議とどこか懐かしい気分になっていたのですが、この屋根をみていて気付きました、そう、日本のかやぶき屋根にそっくり!
ヨーロッパでこのような風景を見かけることはほとんどありません。
ドイツの歴史的な地域では木組みの家やレンガの家が多いのでとても新鮮でした。ところどころに解説員の方がいて、昔の生活の様子を詳しく説明してくれます。
ドイツ語が苦手な私でも楽しかったのが、生活の道具を説明してくれるコーナー。
ひげの長いサンタさんのようなおじいさんが狩猟の道具や楽器の使い方を詳しく説明してくれました。とても陽気な方で、ジェスチャーを交えてわかりやすくお話していただきました。
湖上に目をやると透明度の高い湖の下を水鳥が潜っている様子や白鳥が優雅に泳いでいる姿もみられます。
ドイツ旅行の定番、ノイシュバンシュタイン城やケルン大聖堂といった迫力のあるものではありませんが、美しい湖上でドイツの歴史に触れることができますよ。
この小さな町、ウンターウールディンゲン(Unteruhldingen)には、もう一つ見どころがあるようでしたので、そちらにも行ってみました。
博物館から15分ほどのぶどう畑の丘に建つ「ビルナウ巡礼教会(Wallfahrtskirche Birnau)」です。
入館料は無料だったのでふらっと入ってみてびっくり。
広々とした天井、壁一面に息をのむほどのバロック調の装飾を見ることができます。
こちらも残念ながら内部は撮影禁止でしたが、教会名をインターネットで検索してぜひ見てみてください。
写真でも十分圧倒、感動されるはずです。
目の前にはボーデン湖が広がります。
先ほどの湖畔にある博物館からの景色とは変わって、丘の上から臨む見晴らしも素晴らしいです。
周辺にはぶどう畑の中をサイクリングやハイキングを楽しめる道がつづき、みなさん思い思いに散策していました。
このエリアは傾斜を利用してぶどうの栽培も盛んです。
ワインも有名なんですよ。
今回は南ドイツにある世界遺産をご紹介しました。
南ドイツにはまだまだご紹介したい魅力的なスポットがたくさん。
その中でも、このボーデン湖はドイツ人をはじめ、その周辺の国々から毎年多くの観光客が訪れるリゾート地でもあるんです。
ドイツ・オーストリア・スイスの国境にあるので船に車を乗せて国境を渡るなんてことも。
日本では考えられない光景ですよね。
日常生活で利用する路線バスですら湖上を走って国境を横断、運行しているのですから。
これからもここ南ドイツから、たくさんのおすすめスポットをご紹介していきますので楽しみにしていてくださいね。
それではまた、次の旅行レポートでお会いしましょう。
〈旅行情報〉
■「杭上住居博物館(Pfalbautenmuseum)」
所在地:Strandpromenade 6, 88690 Uhldingen-Mühlhofen,ホームページ: https://www.pfahlbauten.de
■「ビルナウ巡礼教会(Wallfahrtskirche Birnau)」
所在地:Birnau-Maurach 5, 88690 Uhldingen-Mühlhofenホームページ: http://www.birnau.de/